2. 子犬の社会化とワクチン

子イヌの社会化とは?

人間と同じように、イヌも生後まもなくその後の発達にとても重要な時期を迎えます。この時期は「社会化期(Socialization Period)」と呼ばれ、子イヌは初めて外の世界に接し、様々なことを学びます。

この重要な時期は、子イヌが約3〜4ヶ月齢になるまで続き、とくに生後3週齢から12週齢頃が最も大切な時期といわれています。この期間に子イヌが経験する全てが、後々の素地を形成することになります。この時期を過ぎると、見慣れないものや経験のないことがらに対して、子イヌは恐怖心を抱くことがあります。ときには過度に臆病になり、ひいては攻撃的になってしまうことさえあります。

したがって、できるだけ早い時期にできるだけ多くの経験を子イヌにさせてあげることがとても大切です。人間の大人や子供、ほかのイヌあるいはペットとのつきあい方を学び、また家庭内の雑音、電化製品、自動車など居住環境に慣れ親しむには、この時期が最も好都合なのです。

 

なぜ社会化が大切なのでしょう?

イヌの問題行動の多くが、うまく「社会化」がなされていないことに起因すると言われています。たとえば、かりに子イヌがおおきくなるまで一度も郵便配達員、新聞配達員、人間の子供に会ったことがなければ、子イヌにとってこれらの人々はとても”こわいモノ”になります。
”こわいモノ”に出会った場合、逃げるのが普通ですが、逃げ場所がなければ恐怖心は攻撃的な行動となって現れることもあります。こうしたことが積み重なると、極端に臆病なイヌや攻撃的なイヌに育ってしまうことも少なくありません。

子イヌの社会化と問題行動との関係について、いくつかの研究がなされていますが、たとえば子イヌを4週齢から16週齢まで制限された環境で育てた場合、その子イヌは、極端に活動性・社会性が減少してしまったとの報告があります。(Fuller:1964)

また、4週齢から12週齢まで人間と全く接触することなく子イヌを育てた場合、その子イヌは人間との接触を避け、訓練不能になってしまったとの報告もあります。(Scott&Fuller:1965)

これらのとおり、子イヌのある時期に、さまざまな刺激に慣れさせることがイヌのしつけに大切です。

 

社会化するにはどうしたらいいのでしょう?

それほど難しく考える必要はありません。しかし、その過程では飼主さんのちょっとした工夫と努力が必要です。

一度に多くの刺激を与えることは逆効果です。たとえば、何かを極端に怖がらせるような教え方をすると、子イヌは一生それを怖がって、慣れることはなくなってしまいます。徐々に刺激を増やし、段階的に慣れさせることが大切です。プログラムの一例は次のページの通りです。

 

子犬の社会化とワクチン

子イヌの社会化とワクチン接種には重要な関係があります。子イヌは、伝染病に対する免疫を母乳から得ていますが、この免疫力は時間とともに低下してしまいますので、ワクチンの接種が必要なります。ワクチンの接種によって免疫力が十分に高まるまで、ほかのイヌとの接触は避けるべきです。

子イヌの社会化を考えた場合、できるだけ早期にワクチンを接種し、大切な社会化期にほかのイヌとの接触などさまざまな刺激を与えてあげることが望ましいと言えます。

ところが、今までのワクチンは6週齢から15週齢が接種時期とされていました。これでは、子イヌは大切な社会化期に外部の刺激に十分接触できません。もっと早期にワクチン接種を終了することが子イヌの社会化に大切です。

より早く接種が終了できる新しいワクチンができました。
詳しくは、獣医さんにご相談ください。

 

子犬の社会化のプログラム

週齢 プログラム
0〜(週齢) 子イヌ母イヌに依存しているが、できるだけ早い時期に人間(男性と女性の両方)と接触させる。ハンドリングはやさしく。
3〜

この時期、警戒心はほとんどなく、まわりのあらゆるモノに興味を示す。

家庭内のいろいろな雑音(洗濯機、掃除機、テレビ)にさらす。

通常の家庭内環境に慣れさせ始める。

よく抱いたり触れたりする。

6〜

一般に、この時期に飼主さんに引き取られる。

家族全員に引き合わせる。

自転車で一緒に出かける。

郵便配達員・訪問客に引き合わせる。

ひとりでいることに慣れさせ始める。

刺激を与える際は、伝染病の危険性が少ない状態で行う。

9〜

強い刺激(道路の雑音、人混み、子供の遊び場)に触れさせ始める。

ひもにつなぐことを始める。

獣医師の指導の元でしつけを始めるには最も適期。

攻撃的なイヌとの接触はさける。攻撃的なイヌは、子イヌに恐怖心を与え、悪影響を及ぼすため。

12〜 刺激・経験の範囲を広げる。
15〜

学んだ経験を忘れてしまう場合があるので、刺激・経験を継続することが大切。

8ヶ月〜9ヶ月まで継続する。


 

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